読書会「K社のとなり」

定員5名ていど、期間限定で開催中の小さな読書会の記録です。

第4回読書会(推薦本形式)報告

(2019年4月6日開催,参加6名)

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第4回報告

◆『アムステルダム』(イアン・マキューアン)

著者は、とても頭が切れるイヤな人(主観)。万人が多少なりとも持っているナルシシズムをえぐってくるほろ苦さが、薬膳的に春にマッチしている?!

アムステルダム (新潮文庫)

 ◆『宮沢賢治の視点と心象』(東 百道)

著者は朗読漫画『花もて語れ』を監修。朗読は書かれた情景、人物の関係性、それぞれの性格etc.を自分の中にいったん再構築してアウトプットしていく解釈芸術。ゆえに翻訳にも非常に参考になるところが多い。

宮澤賢治の視点と心象 (朗読のための文学作品論)

 ◆『ナラ・レポート』(津島祐子)

「母さん、あの大仏を壊してよ!」 転生してもつながり続ける母と子の絆。様々な時代の背景の中で、役割は変わりながらもその関係性が描かれて、最後は収束するのではなくとんでもない処に連れて行かれる。楳図かずおの漫画『イアラ』に通じるものがある。

ナラ・レポート (文春文庫)

 ◆『文豪妖怪名作選』(東 雅夫編)

特に円城塔・訳の「ムジナ」が新鮮。固有名詞や日本固有の言葉(リキシャなど)をすべて片仮名表記するとか、距離の表記がマイルとか、ハーンが日本の物語に触れたときに感じたエキゾチシズムを再現するかのよう。

文豪妖怪名作選 (創元推理文庫)

 ◆『やし酒飲み』(エイモス・チュツオーラ)

美青年に化けた悪霊に誑かされ森に入っていく女。しかし森を進むにつれ悪霊が「借りて」人間を装っていた人体のパーツがひとつひとつ元の所有者に返され、悪霊の真の姿が露わに……その描写にぞくぞく。

やし酒飲み (岩波文庫)

 ◆『都市と都市』(チャイナ・ミエヴィル

ふたつの都市国家が複雑に入り組んで存在し、冷戦状態にある世界。すぐ隣りにある建物、目の前に見える人々も見てはいけない、関わりを持ってはいけない「敵」。でも見えてしまう……世界中が板門店だったら、という感じでしょうか。

都市と都市 (ハヤカワ文庫SF)

 ◆『銀幕の村』(西出真一郎

1960年代前後の古いフランス映画に出てくる村をまわり、出会った村人や旅行者とのふれあいを抑制の効いた静かな文章で描く。内容もさることながら、文章がたまらなく好き。

銀幕の村――フランス映画の山里巡り

 

【お持たせ】会費を頂戴していることでもあり、どうぞお気遣いはご無用に手ぶらでいらしてください! とはいえ感謝をこめて記録。

◇一幸庵和菓子(写真中央)

菓子調進所 一幸庵

◇東京ラスク「サクラスク」

ラスク専門店 - 東京ラスクオンラインショップ

 

【お茶菓子】パティスリーヒヤマ「もちシュー」&クッキー

洋菓子専門店 Patisserie(パティスリー) Hiyama 文京区大塚